2012年12月01日
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感想・映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」

Written By: トーノZERO連絡先

「何を言っているか分かりませんでした。分からない以上、感想の持ちようもありません。ですので、中身が良いとか悪いとかの感想もありません。以上感想おしまい」

「ちょちょちょ、ちょっと待て」

「なんだよ」

「それじゃあんまりだ。もうちょっと語れよ。そもそもなぜ見に行ったの?」

「客が入っているらしいので」

「それだけ?」

「うん。それだけ」

「エヴァは好きじゃないの?」

「うん。昔のTVのを見たきり。ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズは初めて」

「それなのにいきなり見に行くなんて無謀じゃ無い?」

「シリーズものの映画を途中でいきなり見るのはよくあること。アイアンマンだって、パイレーツオブカリビアンだって、途中の映画をいきなり見て問題なかった。分からないということは無かったし、楽しめた」

「えー」

「宇宙戦艦ヤマト2199だったら、前回までのあらすじが冒頭に入るしね。それほど理解に不自由はしない」

「じゃあ、今回の映画はそれとは違ったわけ?」

「違うと思う。もの凄く説明されていない要素が多くて話が追えない」

「でも、とても多くの客は喜んで見に行っているわけだろう?」

「人種が違うのだろう。今時のオタクはこういう映画が好きなのか、と思った。そこは勉強になったな」

「他人事みたいに」

「他人事なんだよ。明らかに人種が違う」

「では君はこの映画をどう分析する? 万人向きでは無いが特定の層には受けているのだろう?」

「宗教映画だな」

「は?」

「宗教に関する映画には2タイプがある」

  • 宗教ないし宗教的な出来事を題材にした普通の映画
  • 特定宗教の布教映画ないし信者向け映画

「この映画は?」

「後者。キリスト教亜種の信者向け映画で、信者ではない人間がいきなり見てもあらすじすら追えないだろう。前提となっている知識が違いすぎる」

「分かった。ならばTV版のときに君が言っていた『中身がなさ過ぎる』という批判はこの映画にも当たっているかい?」

「分からないね。表層の表現が解釈できないのに、真相の中身まで分かるわけが無い。それを論じれるのは信者だけだろう」

「論評を投げた!」

「クライマックスで何が起きたのかぜんぜん分からなかったのに、何かを言えるわけがなかろう」

「クライマックスでってことは、分かった部分もあるのかい?」

「分かった部分は多くない」

「じゃあ分かった部分について語ってくれよ」

「主人公の振る舞い、言動に感情移入ができなかった。あの主人公は不自然に大きな力を持ちすぎているし、最初から最後まで甘やかされすぎ」

「じゃあ、君はどう思うのさ」

「あの主人公は本当の意味で誰からも愛されていない。渚カオルは『僕を愛してくれる親友』と言うラベルが貼られた人形。あれは本当の意味での善意ではない。宗教的な寓話において、役割が終わったことにより退場するだけ」

「彼が人形なら主人公は何なのさ」

「人間形成が終わっていない未完成の人間なのだろうな」

「未完成の人間だから映画としてダメなの?」

「そうじゃない。未完成の人間が主人公の映画なんていくらでもある。たいていは少なくとも完成に近づく」

「人間として完成に近づいていないからダメという意味?」

「あえて完成させないという方法論もあることはある」

「じゃあこの映画はこれでもいいの?」

「さあ。分からなかった映画に、その判断はできない」

「あくまで君の判断なら?」

「いつも判断は自分の判断だよ。それもできない状況だ」

「じゃあ、結論は?」

「オープンだ。良いとも悪いとも何も示せない」

オマケ §

「軍艦が出てきたね」

「しかしイマイチ」

「どういうこと?」

「作り手は、本当の船好きでは無いと思う。本当に好きならもっと描写が違うと思った」

「えー」

「昔も言ったけど、本当に船が好きならヒロインの名前にラングレーは入れないだろう。そういう感覚は船描写で今も継続していると思った」

「ひ~」